たとえ世界を知らぬ井の中の蛙だとしても
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唐突に書きたくなった短編。
エルドラント、つまりエンディングのところですね。
自分解釈&ネタバレなので要注意☆
エルドラント、つまりエンディングのところですね。
自分解釈&ネタバレなので要注意☆
ついでに言えばアシュ←ルク。
崩壊の音がする。
白く無機質な栄光の大地は今や崩れ、導となるべき言の葉に翻弄されたが故に、示された先を、人を、世界を恨んだ者達の巨大な墓標となりつつある。
栄光を掴む者の下に集った、幾人もの人達。繁栄をもたらすと信じられ続けた、未来を縛る鎖を断ち切るため、彼らは世界を殺そうとした。
そんな彼らを、自分たちが殺した。
巨大な白き墓標。ここに彼らがいたことの証。彼らが生きて、間違った方法とはいえ自らの手で未来を掴もうとしたことの証。
そして、ここは自分たちの墓標にも、なる。
かつて「聖なる焔の光」と呼ばれた者と、「聖なる焔の光」の代替品として生まれた自分。
持って生まれた運命に逆らい続けた者と、持って生まれなかった運命を変えようとした自分。
似て非なる二人。
似ているから、似ていないから。同じだから、違うから。ぶつかり合ったし、解り合えた、と思う。実際は、確かめる前に彼に先立たれてしまったけれど。
「でも、大丈夫」
彼の気配を自分の中に感じている。もうすぐ、自分が消えて彼が戻ってくるのだろう。
ああでも、それまでこの身体は持ってくれるだろうか。
世界に満ちた障気と引き替えに捧げるはずだった、生命。僅かに残された時間。
レプリカには避けられない、音素乖離。
「出来れば、もうちょっと保って欲しかったな」
自嘲気味に笑みを浮かべる。
音素の減ったこの身体が、彼の器になるのか疑問だった。それでも、僅かな望みを託した。
奪い続けてしまった被験者 へ、最後に陽だまりを返せるように。
『帰ってきて』
自分を世界に連れ出してくれた少女の声が思い浮かぶ。
翠の瞳を伏せ、手にした鍵を握りしめる。
「ごめん、約束…………守れそうにない」
約束したのに守れないことが、とても心苦しい。泣きそうな声で告げられた言葉が、まだ耳に残っている気がする。
それでも。
「後悔は、しない」
するはずも、ない。
彼の生命になれるかもしれないのだから!
左手に持っていた、剣のような形をしたローレライの鍵を両手で逆手に持ち、崩壊していく白の大地に突き立てる。そしてその名の通り、突き立てたまま回転させる。
足下に緑色の譜陣が浮き出ると、同じ色の膜が自分を包むように出現し、譜陣ごと大地へと沈んでいく。
暫く沈んでいくと、あの部屋も崩壊したのか、瓦礫と共に上から彼の身体が降ってきた。
膜が受け止め、勢いを弱めてから自分の下へと落ちてくる。
それを両手で受け止め、その冷たさに顔を歪めてしまう。
認めたくなかったことを突きつけられてしまったから。
「オレは、お前がいない世界にいたくないよ」
真実の願いだ。
傲慢な願い、だ。
だって彼は、苦しみの表情を浮かべていない。満足して、死、んだのかもしれない。
それでも、自分は生きていて欲しいのだ。彼に倖せになって欲しいのだ。
「だから、頼むよ。ローレライ」
目の前で揺れる、まるで炎のような音素の固まりへと視線を向ける。
彼と自分の同位体。生命を賭けて解放したモノ。
第七音素意識集合体 。
「もし、出来るのなら、アッシュを生き返らせて。みんなのところに帰して」
ゆらゆらと、赤に黄に橙に、色と形を揺らめかせる意識集合体を見ながら願う。
どうか、自分のこの傲慢な願いが叶いますように、と。
どうか、彼が倖せになってくれますように、と。
どうか、共に旅した仲間達が自分のことを乗り越えてくれますように、と。
そして願わくば。
「さよなら」
この言葉が、彼らに届きますように。
―――――――――――――――――――――――――
お題提供サイト「empty song」 お題「私の声はきこえてますか」より抜粋
崩壊の音がする。
白く無機質な栄光の大地は今や崩れ、導となるべき言の葉に翻弄されたが故に、示された先を、人を、世界を恨んだ者達の巨大な墓標となりつつある。
栄光を掴む者の下に集った、幾人もの人達。繁栄をもたらすと信じられ続けた、未来を縛る鎖を断ち切るため、彼らは世界を殺そうとした。
そんな彼らを、自分たちが殺した。
巨大な白き墓標。ここに彼らがいたことの証。彼らが生きて、間違った方法とはいえ自らの手で未来を掴もうとしたことの証。
そして、ここは自分たちの墓標にも、なる。
かつて「聖なる焔の光」と呼ばれた者と、「聖なる焔の光」の代替品として生まれた自分。
持って生まれた運命に逆らい続けた者と、持って生まれなかった運命を変えようとした自分。
似て非なる二人。
似ているから、似ていないから。同じだから、違うから。ぶつかり合ったし、解り合えた、と思う。実際は、確かめる前に彼に先立たれてしまったけれど。
「でも、大丈夫」
彼の気配を自分の中に感じている。もうすぐ、自分が消えて彼が戻ってくるのだろう。
ああでも、それまでこの身体は持ってくれるだろうか。
世界に満ちた障気と引き替えに捧げるはずだった、生命。僅かに残された時間。
レプリカには避けられない、音素乖離。
「出来れば、もうちょっと保って欲しかったな」
自嘲気味に笑みを浮かべる。
音素の減ったこの身体が、彼の器になるのか疑問だった。それでも、僅かな望みを託した。
奪い続けてしまった
『帰ってきて』
自分を世界に連れ出してくれた少女の声が思い浮かぶ。
翠の瞳を伏せ、手にした鍵を握りしめる。
「ごめん、約束…………守れそうにない」
約束したのに守れないことが、とても心苦しい。泣きそうな声で告げられた言葉が、まだ耳に残っている気がする。
それでも。
「後悔は、しない」
するはずも、ない。
彼の生命になれるかもしれないのだから!
左手に持っていた、剣のような形をしたローレライの鍵を両手で逆手に持ち、崩壊していく白の大地に突き立てる。そしてその名の通り、突き立てたまま回転させる。
足下に緑色の譜陣が浮き出ると、同じ色の膜が自分を包むように出現し、譜陣ごと大地へと沈んでいく。
暫く沈んでいくと、あの部屋も崩壊したのか、瓦礫と共に上から彼の身体が降ってきた。
膜が受け止め、勢いを弱めてから自分の下へと落ちてくる。
それを両手で受け止め、その冷たさに顔を歪めてしまう。
認めたくなかったことを突きつけられてしまったから。
「オレは、お前がいない世界にいたくないよ」
真実の願いだ。
傲慢な願い、だ。
だって彼は、苦しみの表情を浮かべていない。満足して、死、んだのかもしれない。
それでも、自分は生きていて欲しいのだ。彼に倖せになって欲しいのだ。
「だから、頼むよ。ローレライ」
目の前で揺れる、まるで炎のような音素の固まりへと視線を向ける。
彼と自分の同位体。生命を賭けて解放したモノ。
「もし、出来るのなら、アッシュを生き返らせて。みんなのところに帰して」
ゆらゆらと、赤に黄に橙に、色と形を揺らめかせる意識集合体を見ながら願う。
どうか、自分のこの傲慢な願いが叶いますように、と。
どうか、彼が倖せになってくれますように、と。
どうか、共に旅した仲間達が自分のことを乗り越えてくれますように、と。
そして願わくば。
「さよなら」
この言葉が、彼らに届きますように。
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お題提供サイト「empty song」 お題「私の声はきこえてますか」より抜粋
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