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たとえ世界を知らぬ井の中の蛙だとしても
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突発的に浮かんだもの。
故に整合性は無し。
更にルークがほとんど出ません。
むしろキャラが違います。
オリキャラも出てます。
続きません。

それでもOK?




















 それは、十歳の誕生日を迎えた日のことだった。
 例年通り、自分の誕生を祝う為に客が訪れ、贈り物を渡される。上辺だけの笑顔も居れば、下心を隠しきれない笑顔の者も居る。そこはもう、仕方がないのだ、と割り切っていた。
 貴族とは、そういうものなのだと。
 けれど、真実祝ってくれる者も居て。

「ルーク」

 本来はしてはいけないのだろう行為を、自分の為にしてくれる。
 そんな彼の人を振り返り、嬉しさを押さえきれずに名前を呼んだ。

「ヴァン師匠せんせい

 普段よりも上擦った声が出たように感じた。そのことを恥ずかしく思いながら、師匠の隣に立つ一人の男に首を傾げる。

「ヴァン師匠、そちらの方は?」
「ああ。今日お前の預言スコアを詠む預言士スコアラーだ」
「…………フィーネ、と。申します」

 礼儀に則った礼を行うその男は、けれど酷く顔色が悪く見えた。

「大丈夫か? 顔色が優れないが」
「貴族の方の、預言を詠むのは…………初めて、なの、で」
「ダアトから発つ前もそう言っていたな」

 気弱な男に、溜息とも苦笑ともとれる吐息の言葉を投げかけ、師匠は男と自分を促す。
 どうやら、自分の生誕預言を詠む時間のようだ。
 促され、招待客の前で自分の預言が詠まれる。どのような一年になるのか解らないが、恐らく代わり映えはしないだろうと思われた。
 フィーネと名乗った男が口を開く。
 そこから流れ出た言葉は、

「永遠の繁栄を求める者、聖なる焔の光をその手中へと収め、繁栄のみを目指す。
 されど繁栄は幻となり、彼の者、紫の海へと沈み逝く」

 周囲を凍り付かせた。

「聖なる焔の光、それを覆さんがために残虐なる焔を呼び覚ますだろう。
 残虐なる焔はやがて、七番目の意思を喰らい尽くし、世界の理を奪い、破壊する。
 其はその、そそそそ、その、ののののの、その証、に゛っ、十字クロスヲ゛」

 呆然と聞く者達の前で、男はその身体を不自然に震わせ、唇を震わせ異音を発し、ついには白目を剥いて頽れた。
 どさり、という重いモノが落ちる音が響き、誰が発したか解らない悲鳴が空気を劈いた。
 恐怖は伝播し、男は近くにいた兵士に身体を押さえられたが、

「……………………死、んで、いる」

 既に事切れた後だった。










 結局男は何かの薬物で狂ったのだろうという結論に至った。
 何故なら男の詠んだ預言は譜石を生み出さず、他の預言士が詠んだ預言は、至極まっとうなものだったからだ。
 けれど、どうしてもあの男の最後の言葉が忘れられなかった。
 一番近くにいた自分だから聞き取れた言葉。
 「その証に、十字を瞳に持つ」。
 残虐なる焔。自分が呼び覚ますと言われた、得体の知れないモノ。
 頭の片隅にいつもあった。






























 大地が鳴動する。
 己の複製物レプリカによってだろうこの振動に、最悪の事態に陥ったと悪態を吐く。
 あの愚かな出来損ないは、自分の助言も聞かずに突っ走ったあげく、この鉱山の街を堕とすのだ!
 自分から生まれたくせに何も知らず、ただ威張り散らすだけの、目も当てられないあの複製物。
 それならば、まだ。(まだ、残虐なる焔とやらが勝手に動いてくれる方がマシだった!)
 坑道を、奴の仲間を連れて走る。
 開けた視界に入ったのは、創世歴時代の遺物で満ちた空間と、朱と緑、灰褐色の三色の髪色。

「くそっ! 間に合わなかった!」

 灰褐色の髪色の人物――――――――ヴァンがこちらを振り仰ぎ、驚きの声を上げる。

「アッシュ! 何故ここにいる!」

 来るなと言ったはずだ。そう言う奴の言葉を鼻で笑い、今し方連れてきてやった奴の妹を示す。
 妹だけはこのメンバーの中、助けようとしていたのは確認済みだ。顔色が変わるのが解る。
 ヴァンの妹が口を開き、奴に対して何かを言おうとしたその瞬間。

「――――――――なあ」

 ヴァンの側で、力を使った弊害によって蹲っていたはずの劣化レプリカが声を上げた。

「これはまだ六番目の意思だけど…………別に、いいよなぁ?」

 どうせ、七番目の意思も全部ひっくり返すんなら、ここからひっくり返しても。
 そう言ったレプリカは軽く立ち上がると、驚くヴァンを尻目に指を鳴らした。

「フィーネ。フォローよろしく」

 聞き覚えのある名前に、何処で聞いたのかと思い出すよりも早く、レプリカの超振動で崩れかけていた創世歴時代の遺物であるパッセージリングに、どこからか現れた幾つもの太い杭が打ち込まれる。
 ぎょ、として見ていれば、レプリカの横には金髪の女性。こちらに背を向けている為、顔は見えないが、雰囲気だけで笑うと、

「Inamam onih sionos.Oyonom oneteb useatu.
 Inamam onio moonos.Oyonom oneteb useatu.
 Uratawi kibihin iakes.Ekotinik iatahatu.
 Usta nahik otowio moonos.Etag ayahatu atekoti nikiat.
 Usta nahik otowih sionos.Etag ayahatu atiibihi niakes.
 Ahio moa hihsi.Atera tana hikot.
 Ukiete akowi akesoti rukkuy.
 Owu kuhuk uysini akes.Eatu.
 Owu kuhuk uysini hconi.Eatu」

 朗々と歌い出した。同時、杭が発光し、そこからリングの亀裂が修復されていく。
 誰もが声を出すことも出来ず、その光景を見守る中、例外だったらしい己のレプリカが苦笑を漏らした。

「歌はいいんだけどなぁ。…………預言騙って俺の存在を無駄にアピールさせようとかするお茶目なとこ、治して欲しいよ」

 そうだ。
 フィーネは確か、あの預言を詠んだ男の名と同じなのだ。
 気付いた自分に気付いたのか、レプリカが笑いかけ、腕を伸ばす。

「来いよ、アッシュ。お前の死から始まる七番目の意思にして石。俺が壊して崩して喰らい尽くして。――――――――新しい未来、作ってやるよ」

 翠の瞳に浮かび上がる十字を見て、ああ確かに俺が呼び起こしたのだ、と納得する。
 レプリカという形で、予期もせずに!

「終わりました」

 フィーネの言葉と同時、光が収まる。もちろん、リングは完全に修復されていた。
 レプリカが頷き、微笑う。腕は相変わらず自分に向いたままだ。

「それでは、ユリアとの契約と願いに則り、ここに十字騎士団クロスナイツの活動を開始する」
「Yes,Sir」

 女性の紅玉の瞳にも十字。
 斯くして、俺たちは謀らずとも世界が変革する第一歩の目撃者となったのだった。





ちなみに他の十字騎士団の方々は、このルークの宣言直後、どこからともなく現れてアクゼリュスの方々の救出を行っていたり。
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