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たとえ世界を知らぬ井の中の蛙だとしても
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最近妹がシンフォにはまってます。
お陰で私もちょっと戻りかけちまったぜ。
でもまだまだ深淵のターン!

……さて、そんなわけですので。
よくある別世界との混合ネタを思い浮かべてしまいました。
いろんなサイトさんを巡って思っていたわけですよ。
「ルークに足りないのは、他テイルズメンバーが持っている『信頼』だ!」と。
もしくは「愛情」……?
なんというか、他テイルズの主人公がいれば、ルークの旅はあそこまでにならなかったと思うのですよ。
少なくとも、自己犠牲ネガティブは回避されていたはず。
親善大使の性格も少しは柔らかくなっていたかも……。
と、いうわけで、今回はロイド君にアビス世界へ行って貰いましたネタ。
取り敢えずは続かない。
ちなみにアクゼリュス崩落後から。
ロイド君はタタル渓谷から一緒です。
あーゆーれでぃ?































 全員の視線が、朱色の少年に向く。その視線に対し、少年は怯えたように肩を揺らした。
 少年達がいるのは、大地の上、そして水の上を走ることの出来る陸上装甲艦の上。ただしその陸上装甲艦は現在、大地の上でも水の上でもなく、泥の上を走っている。毒々しい紫の、底のない泥の上を。
 彼らの頭上は紫色の靄のようなもので覆われ、時折雷光が走る。それは通常彼らが知る景色ではなく、また、彼ら以外では一握りの人間しか知り得ることの出来ない景色だった。
 奈落タルタロスと名付けられたこのふねが向かっているのは、この泥の海に沈む世界唯一の街、「ユリアシティ」。その上で彼らは、これまで自分たちに何が起こったのかを整理していた。
 そしてその鍵を、朱色の少年が握っている。

「……お、」

 視線に怯えた少年が口を震わせながら開く。出てきた声音は、とても擦れたものだった。それを一度、唾液を嚥下することで無理矢理強いものへと変化させる。

「俺は知らないぞ! 俺はただ障気を中和しようとしただけだ! あの場所で超振動を起こせば障気が消えるって言われて……ッ!」

 少年の言葉を聞いた者達は、徐々に視線に冷たい色を混じえていく。
 金茶の髪の男は最初から似たような色だったが、栗色の髪の少女やダークブラウンの髪の少女、金髪の青年と、薄い金髪の少女。全ての視線に同じような色が宿っていく。
 それを見ながら、一人異端者にして異邦人である茶髪の少年は思った。

 ――――――――まるで、小さな子供みたいだ。

 自分が悪いことを知っていて、でも怒られることが怖くて。だから必死に、自分は悪くない、と言い聞かせる。周りに、自分に。
 そうでもしないと押しつぶされそうな――――――――そんな、小さな子供。
 自分がこのようなことを言っていたのは一体どれほど前のことだろう、と同い年の筈の朱色の少年を見つめた。

「あなたは兄に騙されたのよ。そしてアクゼリュスを支える柱を消してしまった」

 栗色の髪の少女が言う。それに続くように、緑の髪の少年が、哀しげに瞳を伏せ、自分の無力を嘆いた。

「……ヴァンはあなたに、パッセージリングの傍へ行くよう命じましたよね。柱はパッセージリングが作り出している。だからティアの言う通りでしょう。…………僕が迂闊でした。ヴァンがルークにそんなことをさせようとしていたなんて……」

 歯がみし、どうして止められなかったのか嘆く姿は、後悔に塗れていて。
 その心情がよくわかる茶髪の少年は、ただ黙ってグローブに包まれた己の手を強く握りしめた。
 何時だって、こうして後悔する時があるのだ。「何故、あの時ああ出来なかったのか」と。
 今回とて、そうだった。妙に浮き足立っていたように見えた彼を、そのままにしてしまうなんて。せめてあの時、話を聞くことが出来ていたら。
 そう、後悔した時。

「……せめてルークには事前に相談して欲しかったですね」

 金茶の髪の男が言った。
 茶髪の少年は、その言葉にきょとん、としてしまう。

「…………なんで、『相談して欲しかった』、なんだ?」

 思わず尋ねれば、今度は茶髪の少年へと視線が集まる。それには朱色の少年の視線もあって。
 やはり罪悪感が見え隠れするその瞳に、やっぱり子供みたいだ、と感想を抱いた。

「当たり前でしょう? ロイド。ルークが相談していれば、このような事態にはならなかったはずです」
「そうね。大佐もいたのだもの、もっと確実な方法がとれていたはずよ」

 金茶の髪の男と栗色の髪の少女が、ロイドと呼ばれた茶髪の少年に呆れたように返した。
 それでもロイドは納得出来ない。

「だってお前ら、知らない奴に大事なことを相談するか?」
「俺たちは知らない奴じゃないだろ?」

 ロイドの言葉に、今度は金髪の青年が反論した。
 それに対して頭を掻きながら、どう言えばいいのかと悩む。ここに「先生」が居てくれたら、代わりにまとめてもらえるのだろうけれど、今ここには自分しか居ないのだ。悩みながらも言葉を探し、結局感じたとおりに口へと紡ぐことにした。

「俺たちって結構寄せ集めだろ。なんて言うか、こう、一緒に行く方向が同じだから一緒に行こう、って感じの」

 ロイドの場合、「行く宛てがないから一緒に」行ったのだが。

「まあ、心外ですわ。私たちは皆、アクゼリュスの人々を助ける為に旅しておりましたのよ?」
「ああうん、それは解ってるけどさ」

 金髪の少女に言われ、やはり自分にこういう役は向いていないのだと悟る。
 それと同時、かつての「旅」を思い出した。
 神子である「幼馴染み」。彼女を守りたくて、無理矢理同行した旅。お金で雇った「傭兵」と、頼りになる「先生」と、頭のいい「幼馴染み」。
 最初は五人で始まったそれが、神子である幼馴染みの命を狙う「暗殺者」を巻き込み、神子の宿命を知りそれを超えたいと思い、異世界へと渡り、そちらの「神子」をも巻き込んだ。
 さらには、神子である幼馴染みと同じ状態になってしまっていた「少女」とそれに関係のある「囚人」すらも仲間にして。
 それでも彼らの根底にあったのはきっと、使命でも運命でも義務でもなくて。

「仲間として大切な、『信頼』とか。足りなかったんじゃないかな、俺たちには」

 ルークと呼ばれた朱色の少年に視線を移す。途端、震えた肩に苦笑うと、彼の態度を思い出す。
 自分たちに対して、かなり横柄な態度を取っていたルーク。けれども、少し経つと、ロイドにはたまに笑顔を見せてくれた。緑の髪の少年には解り辛い優しさを示していた。
 そんなルークは、ロイドよりも金髪の青年に笑顔を浮かべ、それよりももっと笑みを浮かべて、栗色の髪の少女の兄である「師匠せんせい」と話していた。

「そういう意味では俺たち、ルークにとっては『知らない奴』だったんだ」

 信頼している人物の言葉を、疑う者は少ない。ましてや、それを会って間もない人物に伝えるなど。

「だからきっと、俺たちが相談する側だったんだ。『いつもと違うけどどうしたんだ』って」

 そうすれば、何処か神子である幼馴染みに似た――――けれど大分捻くれている――――彼は、何らかのリアクションで教えてくれただろう。それが素直に相談、とならなくてもだ。

「ただし!」

 ロイドは一言そう言うと、つかつかと硬質の床を自分のブーツで踏み鳴らしながらルークへと近寄り、その頬を両手でぱちん、と叩き挟んだ。

「ルークがしたことは悪いことだ。そこはちゃんと解るだろ。認めないと、先に進めないんだぜ、こういうことは」

 認めても、帰ってくるものなど無いことは、ロイド自身一番よく知っているけれど。

「悪いことしたら、まず認める! そんで謝る! 次に、これからどうすればいいか悩む! 以上!」

 手をルークの頬から退けると、ロイドは他の仲間の方を見る。

「ほら、こんなとこに何時までも居たら、それこそ病気になっちまう。中に行こうぜ!」

 そう言って我先にと、ルークの手を掴み艦内へと続く扉を開いた。





ロイド君が加わったアクゼリュス崩壊。
少なくとも、みんながルークに冷たく言葉を残して去る、ということはないはず。
…………ただ、私がロイド君の口調と性格を掴み切れて無くて、むしろオリキャラじゃん、と突っ込まれそうなだけさ!
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